マリアナの乾いた風

それはもう10年前の事である。
うちの子供たちのスイミングクラブのYear End Partyがサイパン島の北部にあるマリアナリゾート&スパで行われました。ちょうど11時半からということで南国のギラギラとした太陽も天頂高く上り、全く雲もない青空。 車から出てパーキングからロビーに行く間、何の音も聞こえず、ただ風の音とココナッツのカラカラと言う音が響き渡っていた。この風が海から島を通り抜けるときに、ココナッツやプルメリアやあらゆる島の植物を揺らしてその音が身体に浸みてくるこの感覚。たまらないな~。この感覚っていつか感じた事があると思いながら駐車場からホテルにあるオープンテラスのレストランのゴツゴツした大きめのイスに腰かけたちょうどその時に思い出しました。あれは中学1年の夏休みに家から自転車で15分位行った川越線の日進駅から指扇駅の中間にある鴨川を渡る田んぼしかない私のお気に入りのスポットで感じた感覚と同じだったと。国鉄(現在のJR東日本)の川越線は大宮と川越を結ぶ単線で車両は2,3両だけが走る1時間に1本あるかないか、、、確か昼間は走っていなかったような気もする、そんな寂れた路線だった。それもディーゼルエンジン車両だったので線路の上を伝う架線はなく線路だけがその風景に溶けこむ。その路線が田園風景をまっすぐ走りぬけて指扇に向かって見渡すと途中に竹藪をツキって、ちょうどその線路の部分からその先が見えるというのどかな風景だった。その場所で夏の暑い日に何をすることもなく私はその風景を楽しんでいた。そんな中学生の多感なときに感じた感覚がまた蘇ってきた。そんな懐かしいような、こんな歳になってまで感傷的な気分になるのが気恥ずかしいような不思議な気分になった。
そんな昔のことを私は思いながら目の前には真っ黒になったうちの子供たちや島に住む水泳好きな子供たちが常夏のクリスマスを楽しんでいる。これからみんながどこで生活をしてどんな中で毎年クリスマスを過ごすのだろうか?クリスマスを迎える度にこの南の島のカラカラと椰子の葉が奏でる音を思い出すのだろうか。

あっ、誰かがプールに投げ込まれた、、、(笑)。クリスマスパーティーは私の想いとは別に穏やか続く。